8mgの小説ブログ

WEB小説(ちょっと挿絵)のブログです。ブログ形式だと順番的に少し読みにくいかもですが、一章ごとに完成したら、別サイトにアップしたいと考えています。※このサイトはリンクフリーです。

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WEB小説『画面の向こうのプロレスラー』をメインで更新中!ちょっとアレな性格の女子レスラーの成長物語ですm(_ _)m

WEB小説 拡張された世界 〜第一章14〜

・・・ ここは、07-17エリア04 ・・・

 

レールラインが南北に延びており、その西側に大きな湖が広がっている。

 

その湖の真ん中に、一人の男性が立っていた・・・

 

水面に人が・・・一見すれば不思議な光景だ。

 

もちろん、水面に立つ男性はブライアさんで、そのブライアさんの足下には、俺が操縦する対犯罪者用戦闘重兵器車両EMZ-03(エムズ)の機体が水面下に隠してある。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

『勝手な行動は許さんぞ!!』

通信の向こうから怒鳴る晶子の声が聞こえてくる。

 

「大丈夫だ、課長!ホントにヤバい時は必ず撤退する。その辺の事はわきまえております。只対象の情報をもうちょっと掴んでみたいんだ!」

 

『止めろっ!ブライ・・・』

 

ブライアさんは通信を強制的にシャットアウトする・・・

 

「課長にまた怒られるだろうなぁ・・・だけど、彼女・・・笠原課長を危険な目に遭わせたくないんだよなぁ・・・」

ブライアさんの言葉には、晶子を気遣う優しさが込められているように感じた。

 

「17式とドンパチする時、絶対に晶子は最前線で戦いますからね!?」

晶子は、後方でノンビリと指令を出すタイプではない。

 

「そうなんだよなぁ・・・だから、修理屋手伝ってくれるか!?」

 

「もちろんです!!」

 

それから、ブライアさんに具体的な作戦について説明を受ける・・・

 

「俺が単身で前の車両に乗り込むから、修理屋はエムズを操作して俺をその車両まで運んでくれ!その間、17式から攻撃されると思うので迎撃しながらになってしまうが・・・」

なかなか、ヘビーな内容ではあるが、俺も技術者としてエムズのような兵器関係にも通じており、何度も試験運転もした事がある。

 

「大丈夫です!私がいるのでお任せ下さい。」

そして、今はアリスがこの機体のコアコンピュータとして機能させている。

  

「ああっ、そうだな!何せ今はお前がいてくれるもんな!」

 

「はい、マスターのようなポンコツパイロットでも、エース級の結果を出させる・・・それが私、アリスの役目です。」

 

「おまっ、ポンコツ言うな!!」

 

アリスがこの機体を制御して、しばらく時間も経っている。演算処理と機体動作とのバランスもかなり慣れてきたようだし、ここはアリスの力を頼るしかない。

 

「アリス!しっかり俺を導いてくれ!そして、俺について来てくれ!」

 

「はい!地獄でも何処へでも付いていきます!」

 

「おまっ、縁起でもない事言うな!!」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 ・・・それから、何処でアタックをかけるかについて検討し、ここの湖に決まった。理由は民家や建物もなく、17式から迎撃されても他に被害が及ぶ心配が少ない事と、17式が持つ主砲・・・リバイヤキャノンの死角から接近出来るからだ。

 

暴走する列車を飛び越えて、少しでも17式からのレーダー捕捉を回避する為、湖の真ん中に着水した。ここで、暴走列車を待ち構える作戦だ。

 

・・・コクピットから機体の上部甲板に出て、装備品をチェックするブライアさん。いくら擬態化しているとはいえ、単身で砲弾の中を掻い潜り車両に乗り込もうと言うのだが、彼の体とエムズの機体とを細いワイヤーで繋ぐ。

 

「何かあった時は、全力でこのワイヤーを引っ張って、引き摺ってでもブライアさんを回収しますので。」

 

「ああ!任せる!」

 

・・・ 嵐の前の静けさ・・・と言うべきだろうか?

 

レールライン周辺の道路封鎖や周辺住民の避難は迅速に行われているようで、辺りは騒音など聞こえず静まり返っている。

 

「対象、間も無く接近してきます。」

アリスの報告で、俺もブライアさんも身構える。

 

・・・ガタンゴトンと、遠くの方から列車の走る音がレールを伝って聞こえてくる。

 

「きます!」

 

・・・前を走る付随車両、後ろから押す動力車両の第17式機動装甲列車が近付いてきた。