8mgの小説ブログ

WEB小説(ちょっと挿絵)のブログです。ブログ形式だと順番的に少し読みにくいかもですが、一章ごとに完成したら、別サイトにアップしたいと考えています。※このサイトはリンクフリーです。

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WEB小説『画面の向こうのプロレスラー』をメインで更新中!ちょっとアレな性格の女子レスラーの成長物語ですm(_ _)m

WEB小説 拡張された世界 〜第一章12〜

「対象まで距離2700m・・・周辺にはオーグセキュリティ支局の警備車両が追走中です。」

 

アリスの報告通り、オーグセキュリティ支局の車が、暴走する列車とかなり距離を取りながら追跡している。対象に近づき過ぎると、見えない攻撃に晒されるので当然距離を取らざるおえない状況だ。

 

「まもなく、着陸します。着地コードをナビゲートします。」

 

「了解!」

 

モニターに映る誘導ラインに沿って、ブースターを効かせながらエムズは問題なく着地した。

オーグセキュリティEから現場までの何百キロの距離をジャンプ移動でやってきたのだ。これは、セキュリティEからの派遣組の中では一番乗りで現場に到着した事になる。

 

「アリス、対象まで距離は・・・?」

 

「1800mです。」

 

「よし、じゃあ始めますか!?ブライアさん、コクピットのハッチを開けてもらえますか?」

 

「ああ、了解!どうする気だ!?」

 

「対象を目視します!」

 

暴走する列車・・・その真の対象というのは、今モニターに映っている付随車両ではなく、その後ろの車両・・・拡張世界(オーグリアリティ)を使ったステルスコーティングによって透明化された装甲列車の方である。

俺は、眼鏡を外すと拡張世界は目に写り込まず、本当の世界を見る事が出来る。だから、透明化された車両の本当の姿も目視する事が出来るのだ。

 

「マスター、ヘッドギアを!」

 

俺はアリスから小型ヘッドギアを受け取り、エムズのコクピットから身を乗り出して外へ出た・・・そして、ヘッドギアを装着して眼鏡を外す。眼下には真っ白の世界が広がる・・・これが、この世界の真の姿だ。

 

「エムズをレールラインに乗せて追走してらえますか?」

 

「了解!」

 

エムズは着地してからは公道を走っていたが、ジャンプしてレールライン上(線路上)に移動した。障害物のない真後ろから対象を捕捉する為だ。

 

「対象にロックオンされない程度に距離を詰めてもらえますか?」

 

「ああ、わかった!ヤバくなったら教えてくれよ、嬢ちゃん!?」

 

「了解です!」

 

どんどんと対象に近づくにつれて、その全容が明確に捕捉出来てきた。

付随車両の後ろを走るのは、かなりカスタマイズされているようだか、武器装甲から第17式機動装甲列車だと思われる。

 

第17式機動装甲列車・・・『オーグアーミー』と呼ばれるこの世界の軍隊機関用の兵器として開発された兵器だ。レールライン上の移動運搬を目的とし、防衛能力に優れた重兵器だ。

 

「後退する!」

 

と、ブライアさんは、いきなりエムズを急停止させた・・・どうやら対象に近付き過ぎたようだ。俺はコクピット内に転がるように戻り、急いでコクピットのハッチも閉じた。

 

「警戒レベルイエロー信号が出ました。距離は800mです。」

 

「そうか、データは取れたか?」

 

「はい、問題ありません!」

 

俺がコクピットから身を乗り出して、対象を目視する事は大きな意味を持つ・・・

 

「ブライアさん、今からこのモニターにあの透明列車の正体、御尊顔を映し出します!」

 

「そんな事が出来るのか!?」

 

「はい!俺が目視で対象を見た際の脳波情報をこのヘッドギアを通してアリスに伝達させました!」

 

「そして、私がエムズを通して対象に向けて超音波を出し、その反射の具合から対象の物体情報を演算しました!」

 

俺の目視情報とアリスの超音波演算を合わせる事で、拡張世界をキャンセルさせた真の現実世界を映し出す事が出来る・・・この世界人間のほとんどと機械やアンドロイドにはナノチップが埋め込まれており、デフォルトの状態で拡張世界を見る(見せられる)事になっているが、アリスが、俺が眼鏡を外した時に見える景色をどうしても見たいというので考え出した拡張世界キャンセルシステムだ。

 

「それでは、切り替えます!」

 

・・・・・・・・・

 

モニターが一旦真っ黒になって、次に映ったその景色は、俺がさっきまで眼鏡を外して見ていた灰色の真の世界だ。その灰色の中をレールラインが続く・・・前方に見えるのは、完全武装された第17式機動装甲列車だった。