8mgの小説ブログ

WEB小説(ちょっと挿絵)のブログです。ブログ形式だと順番的に少し読みにくいかもですが、一章ごとに完成したら、別サイトにアップしたいと考えています。※このサイトはリンクフリーです。

20210220223629

WEB小説『画面の向こうのプロレスラー』をメインで更新中!ちょっとアレな性格の女子レスラーの成長物語ですm(_ _)m

WEB小説 拡張された世界 〜第一章11〜

・・・・・・・・・・・・・

 

 

「うぉぉぉぉぉーーーーーッッ!!」

対犯罪者用戦闘重兵器車両EMZ-03(エムズ)のコクピット内・・・

 

俺とブライアさんは絶叫していた・・・

 

 

・・・・少し前のこと・・・・

 

 

「大ジャンプって、現場までエムズでジャンプするってことか?」

 

「そう言う事です。こいつは基本陸上移動用ですが、高出力ジャンプが可能な機体です。」

 

「どうやって・・・その高出力ジャンプをするんだ?」

 

「まず先に二足歩行モードに切り替えて下さい。後は空に向かってラナウェイだけです!」

 

エムズの基本形態は4脚走行だが、上体を前屈みの姿勢にし、後ろ二本の脚を折り畳むと二足歩行モードに切り替わる。

その時、折り畳んだ後脚の折り目部分には噴射口が剥き出しとなり、ブースター機能として使用出来る。

二足歩行モードの目的は、ブースター推力による、無重力空間下での行動・移動だった。つまり、エムズは地上用だけでなく、宇宙空間や水中内での使用も実現させた汎用ロボットなのである。

 

 

・・・・・・・・・・・・・


「うぉぉぉぉぉーーーーーッッ!!」

空に向けて全開でブースターを稼動させると、エムズの機体は轟音と共に浮き上がったと思った・・・その瞬間、一気にGが掛かかり、空に向かって突き進む・・・まるでロケットを打ち上げるような感じだ。

 

「ずっと、このままでいいのか!?」

 

「はい、そのままでお願いします!」

ペダルを全開に踏み込むブライアさんが確認を求めてきたが、今はひたすら空へ駈け上がる他ない。

高度がどんどん上昇していく・・・と共にブースターのヒートゲージもどんどん上昇している。

 

「おい、そろそろブースターがヤバイんじゃないのか?」

 

「大丈夫です。そのまま踏み続けて下さい!」

「マスター、ヒートゲージが93%です。」

 

「おい、このままじゃ、オーバーヒートするんだが!」

 

「大丈夫です!大丈夫なはずです・・・!」

 

・・・さっき見たこのエムズの取説的には大丈夫なはずだ。

 

「ヒートゲージ98%・・・99%・・・!!」

 

・・・ そして ・・・

 

ガチャンッッ!!

 

モニターに赤く警告されていたヒートゲージが青くなり、ゲージも一気に下がる・・・オーバーヒート状態となった。

 

「うわぁぁぁーーーッッ!」

機体の上昇もストップし、バランスが崩れる・・・そのまま降下してしまいそうかとなった瞬間・・・

 

 ガチャンッッ!!

 

再び機体の一部が切り替るような音が鳴るとともに、ブースター噴射口から

高出力の燃焼エネルギーが発せられる。

 

 

セカンドブースター!!??」

 

 

モニターに点滅するセカンドの文字・・・エムズは通常ブースターがオーバーヒートを起こすと、セカンドブースターに切り替えられる構造になっていた。

 

「こんな機能、マニュアルにも何処にも書かれていなかったぞ!」

 

「そうです!俺もさっきシステムを構築している段階で見つけたんです。元々、この機能が使えないようになってましたがシステムをいじって使えるようにしてみました。」

 

エムズの開発者は何故このような、機能を搭載させているのにそれを使えなくしたのだろうか?

おそらくは、この世界を統治管理するコンピュータ『リアース』は、人間達に武器を持たせる際、制限を設ける・・・限られたスペックの武器のみ使用できる事を許可しているので、このエムズの隠されたギミック機能は、開発者のリアースに対する細やかな反抗のようなものだろうか。

 

「とにかく、セカンドブースターでさらに天に昇りますよ!」

 

「ああっ!わかったよ、修理屋!」

 

 

・・・エムズはさらに上昇する・・・

 

 

「マスター、予定高度の9000mに達しました。」

「ブライアさん、出力を30%に調整して下さい。」

 

「了解!」

 

高度9000mの世界・・・エムズの真下には一面雲がどこまでも広がっている。この雲は今なお地球を覆っている、先の世界大戦の後遺症のような存在だ・・・という事は、この高度9000m上空では、拡張世界(オーグリアリティ)はどうなっているのだろうか疑問がわく・・・エムズのモニタ越しに見る景色は、真の地球の姿を映しているようにも思うが、俺はこの上空でコクピットハッチを開けて、外の景色を見てみたいが、今はそんな場合ではない・・・

 

「これより、アリスが目的地までナビゲートしますので、それに従って下さい!大降下作戦です!」

 

「了解!頼むぜ、嬢ちゃん!!」

 

「はい、ブライア様!これより、方角調整は自動モードに切り替えますので、出力調整はモニタ−に従って下さい。」

 

「了解!」

 

高度9000mの登山は終わり、いよいよ目的地(暴走列車)までの下山が始まる。

 

・・・ ブォォォォォーーーーーーーッッッ!!! ・・・

 

もの凄い風圧と重力を受け止めながら、降下するエムズ・・・時折、ブースターを吹かせて着地地点への調整を計る・・・少しでも出力調整を見誤れば機体バランスを崩してクルクル回転をはじめてしまいそうだが、流石歴戦のパイロットであるブライアさんは、安定した操縦を続けていた。

 

 

「高度1000mをきりました・・・対象まで間もなくです。左前方に目視で確認が出来ます。」

 

 

アリスの言葉通り、遥か前方に移動する物体が見えてきた。レールライン上を暴走する列車だ。エムズのモニタ−越しだと前の付随車両しか見えない・・・その後ろに、ステルスコーティングされたレール式戦闘装甲車が前の車両を押しながら走っていると推測される。

 

俺は緊張しているのか、少し体が震えていた・・・いやっ、これは武者震いだ。