8mgの小説ブログ

WEB小説(ちょっと挿絵)のブログです。ブログ形式だと順番的に少し読みにくいかもですが、一章ごとに完成したら、別サイトにアップしたいと考えています。※このサイトはリンクフリーです。

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WEB小説『画面の向こうのプロレスラー』をメインで更新中!ちょっとアレな性格の女子レスラーの成長物語ですm(_ _)m

WEB小説 拡張された世界 〜第一章05〜

 「こんにちは。こうして直に会うのは初めてだね、アリスちゃん!」

「はい、笠原様。こちらこそよろしくお願いします。」 

 「晶子でいいわよ。いつも、ありがとね!」

「はい、晶子様!!」 


俺を無視してアリスと笠原晶子は会話を始める・・・彼女とアリスとは、よく連絡を取り合っているような話し振り。



「おいっ、アリス!お前と晶子って・・・」 
「はい、晶子様とは仕事依頼のやり取りだけではなく、よくスカイコールを通じて近況を報告させて頂いています。」
 「近況って、まさか・・・!?」

「もちろん、マスターの近況です!」
・・・アリスは何かとんでもない事を口にしたような気がする・・・

「おいっ!!何でもかんでも好き勝手に話してないだろうな!!??」

「大丈夫です!マスターは何を食べたとか・・・私を食べてくれないとか・・・もうちょっとで食べてくれそうとか・・・そんな話です!!」

「ひっ、ひぃぃぃっっっっ!!」

・・・アリスは、完全にアウトな事、アウトな情報を喋ってる・・・もう、俺は笠原晶子の顔を見て会話できそうにない・・・

 

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「大丈夫よ、悟・・・!話は色々と聞いてるから!!今どんな女性が好みなのか・・・とか・・・その歪んだ性癖の事をたっぷりとね!!あなたの性癖について語り合うSNSのチャットにも参加した事があるのよ、私!」

そう言う笠原晶子は、笑顔をこちらに向けてくれているが、完全に殺しに掛かってくる微笑みだった。

 

「マスターは下は14歳・・・上は47歳と・・・とても守備範囲の広い女性嗜好年齢をお持ちです(キリッ)!!そんなマスターにとって今一番HOTなのは、乱れたキャリアウーマン!!」
「アリスちゃん、、、頼むから余計な事言わないでッ!!」

 

 

 

前方からの冷ややかな視線が厳しいが、俺は本題を切り出す。

 

「今日呼ばれたのって、修理の仕事だよな!?」

「付いて来て!」

 

俺とアリスは笠原晶子に案内され、このオーグセキュリティE-03部所有の戦闘車両ゴックとやってきた。重兵器・戦闘車両等がフロア一帯に並んでいる。



「よっ!!修理屋っ!!」

「ブライアさん!!」

ドッグへやって来た俺に話掛けてきた人物は、このオーグセキュリティE-03部職員で強硬犯係のブライヤ・イグニスさん・・・気さくだけど頼りがいのある、渋くていい感じのおやっさんだ。


「修理屋は、いつになったら擬態化するんだよ!?」

「いや、今の所予定はありませんよ!」

「擬態はいいぞ!斬られても、弾丸や砲弾喰らっても死なないからな!」

「いやいや、そんな状況滅多にないですから!まあ、昔…死にかけた事は色々ありましたけど、やっぱり擬態化はしません!」


このオーグセキュリティE-03部の職員の殆どは、擬態化や電脳化している。もちろん、笠原晶子もブライヤのおやっさんも擬態化&電脳化のフルモデルだ。
生身の肉体を捨てて、危険に立ち向かおうとするその精神には頭が下がるばかりだが、この世界では、オーグセキュリティのような警察機構の人間や傭兵など危険を伴う仕事につく者は、自身の体を擬態化させる傾向がある。また、怪我や病などで身体機能を失った者も擬態化により再び健常者として復帰できる事や、この世界で擬態化や電脳化は決して珍しい事ではなく、ごく一般的な選択肢の一つだ。
一方、俺のように擬態化・電脳化しない人間も数多くいる事も事実ではあるが、世界規模の流行病(パンデミック)等が発生した際には擬態化が一気に進む傾向がある。


ブライヤさんも加わってドックの奥に足を進める・・・



「今日の依頼はこれよ!」

「EMZ…」

「そう、対犯罪者用戦闘重兵器車両EMZ-03、通称エムズよ!」


二手四足型の戦闘装甲車エムズ。一人乗りの戦闘車両であるが、コクピット空間は広めで、内部に武器を積んで戦地まで強襲を掛ける為の安定性・汎用性に特化したロボットと言える。俺は以前、NAGAMORI研究所でこういった類いの戦闘車両と毎日にらめっこしていた思い出がある。



「で、どの辺りを修理すればいいんだ?」


「もちろん!情報処理能力のスペック向上にエンジンブースターの効率化をお願いするわ!」


「”修理”・・・ですよね??」


「んっ?何か問題でも?それとも逮捕されたいの?」



あまりに横暴・・・わかってはいたが、笠原晶子の俺に対する態度は常に高圧的である。修理という名の改修が目的である。


「まあまあ、修理屋!!曲げて頼むよ!!こいつを運転したパイロットは皆反応の鈍さに乗るのを嫌がるんだ!!まあ、それ込みで俺は好きだけどな!!」
俺の気持ちを察してか、ブライヤさんがフォローを入れてくれる。



「私達は今、ある武器・装備で、ギリギリにやってるけど、いつもホントにギリギリなの!一歩間違えば全滅もありうる…そんな状態なの!!でも、上に掛け合っても現状維持ばかり・・・私は職員の命を預かっている立場だから、なりふり構わず出来る事をする!だから、悟、お願いします!!」
そう言う笠原晶子…彼女の目は真剣で、執念にも似た嘆願をされたら、俺は断る事は出来ない。


「わかってるよ!だから今日はこいつを連れて来たんだ!」

「アリスちゃん?」

「こいつは優秀だからな!俺達にお任せ下さい、晶子様!でも報酬はちゃんとたんまり頂くからな!!」

「もちろん!ありがとう、お願いね、悟、アリスちゃん!」 


こうして、俺は対犯罪者用戦闘重兵器車両EMZ-03の改修に取りかかる事になった。